僕は本の中でも小説が好きなのですが、
最近はブログやメルマガの更新を頑張っているので、
特に時間があるときは読み漁るようにしています。
今日はその中でも感動した小説を一作ご紹介。
ネタバレも含まれているので、気にする場合は続きを読まないでください。
タイトルは『ちょっと今から仕事辞めてくる』という小説です。
物語は新入社員として営業マンとなった主人公の青山隆という男が
サラリーマンに絶望しているシーンから始まります。
上司にこっぴどく怒鳴られながら、うまくいかない仕事に嫌気が差し、
青山は会社に勤める時間を気だるく憂鬱に過ごしていました。
帰路に着いても会社から電話がかかってくる生活に、青山の精神は限界を迎えていました。
仕事帰り、青山は駅のホームで何も考えず、ゆっくりと目を閉じました。
左右の足を交互につきだし、
肩をフラフラさせながら電車の走ってくる線路の方へ身を預けようとします。
「もう少しで楽になれる」青山はそう感じ取りました。
しかし、そこへ突如、見ず知らずの男に背後から腕を掴まれてグイと後ろに引き戻されます。
「久しぶりやな!俺や、ヤマモト!」
白い歯を見せ、調子のいい口調の関西弁でその男は言いました。
これが青山の運命を変えるヤマモトとの出会いでした。
偶然出会ったヤマモトに励まされて、徐々に心の平和を取り戻していく青山。
仕事のことはもう大丈夫、と青山は安堵しました。
が、ある事件がきっかけで
青山は再び命を落とそうとするところまで心が病んでしまいます。
そこでヤマモトが言った一言「なんで、仕事辞めへんの?」
この転職の勧めから青山の仕事人生は佳境へと突入していきます。
ちょっと気の小さな青山と、謎の多いヤマモト、
この二人の舞台を描いたストーリーです。
僕も以前のアルバイトでひどい扱いを受けてきました。
上司に怒られると死にたくなり、
出勤すると溜め息とめまいが同時に出てくる青山の気持ち、本当に良く分かります。
仕事に生きる人にとっては首をかしげるところもあるかもしれませんが…
タイトル通り、終盤で青山は仕事を辞める決意をします。
僕が特に感動したのは、そこで彼がムカついていた上司に放った言葉です。
「負け犬、負け犬って、一体何を指して負けなんだよ。人生の勝ち負けって他人が決めるものか?
そもそも、人生は勝ち負けで分けるものなのか?じゃあどこからが勝ちで、どこからが負けですか。
自分が幸せだと思えたら、それでいいでしょう。僕は、この会社にいても自分が幸せだとは思いません。
だから辞める。ただ、それだけです」
胸に突き刺さるセリフでした…
いまの社会で常識と呼ばれているものの中に
「正社員として働くのは正しいこと」というものがあります。
みんな社会に出ると、ただなんとなく負け組になりたくないと思っているから、
就職活動を経て仕事を探します。
その選択が正しいかどうかなんて関係ありません。
社会人になったらどこかの会社に就職して、
毎月決まった給料をもらい、日々のストレスに耐え、
幸せをも噛み砕いて生きていかなければならないという価値観です。
毎月ATMには血肉と同様のお金が吸い込まれていき、
多くの人はその生活を白髪になるまで続けます。
思考をぶった斬りながら、理性を麻痺させ、
盲目的に仕事に従事するだけの日々を彼らは送ります。
青山が上記のセリフで言ったとおり、人生は勝ち負けで分けるものではないのに、
多くの人は歯を食いしばってでも仕事していることが
正しい勝ち組の姿だと判断してしまいます。
もちろん、それに一切の利点がないとはいいません。
正社員になると学べることはたくさんありますし、
その生き方で満足している人も一定数いるのかもしれません。
しかし僕はやっぱり人生の幸せを捨ててまで仕事に励む必要なんて皆無だと考えています。
「辛くて仕事を辞めるなんて負け犬だ!」
と言ってくる人もいると思いますが、僕は負けだなんてカケラも思いません。
むしろ幸せを追いかけるための非常に賢い選択です。
そもそも、仕事を辞めることが負けということに対して、
たった一度きりの人生を仕事に費やし、
大切な人と過ごす時間を捨てて、
趣味や娯楽も犠牲にする生き方が勝ちだという根拠が謎です。
青山だって、自分の幸せを追い求めました。
結果、仕事を辞めるという選択肢に行き着いただけです。
非常識かもしれませんが、不自然なことでは無いでしょう。
なんなら負け犬と呼ばれてもいいじゃないですか。
不幸な勝ち組よりも、僕は幸せな負け組の方が格好良いと思いますよ。
仕事が辛いなら、それ以外の方法でお金を増せばいいだけですし。
選択肢はたくさんあります。
特にインターネットが繁栄している現代は個人の力でビジネスができます。
必要な物もパソコン1台とネット環境のみです。
それだけの環境が整っていて、
無闇に社会のレールにまたがっている意味もないではありませんか。
就職しただけで幸せになれるなら屋上から転落する会社員は出ません。
仕事の辛さ、社会の理不尽さ、そして選択肢の広さ、
僕はこの本を読んで自由を目指すのはどうやら間違いではなかったと再確認しました。
新人作家が書いたものなので、荒削りな文章の小説ですが、
現在の仕事や社会のルールに疲弊しているなら一度読んでみましょう。
きっと心の底から元気をもらえるはずですよ。